花束と3月

  • 副院長ブログ

3月は別れと出会いの季節。卒業、異動、転勤、退職……
この時期は、「ありがとう」や「がんばってね」という気持ちを伝えたくなるものです。

そんな時、贈り物の選択肢は数多くあるのに、
「花を贈ろう」と決める瞬間には、
知らずのうちに、何か、
特別な感情が込められているように思ってしまいます。

たとえば、お世話になった方への贈り物を選ぶとき。
「実用的なものがいいかな」
「長く使えるものがいいかな」と迷いながらも、
最終的に花束に手が伸びるのはどうしてだろう。

それは、花が
「その人の今、つまり区切りのシーンを、輝かしく彩るもの」
だからかもしれません。
言葉にならない気持ち、感謝や励ましの思いを、
花ならば、全て包み込んで、届けてくれるような、
そういう気がするからでしょうか。

花束を受け取った側もまた、
不思議な気持ちになることがあります。
色とりどりの花を前にすると、戸惑いながらも、
じわじわと嬉しさが広がっていきますよね。
涙腺が緩まります。

実際、心理学では「物を贈ること」よりも、
「贈られることを受け入れること」のほうが、
心の変化をもたらすと言われています。
花束は特に、

「あなたを尊く思っていますよ」というメッセージそのもの。

受け取ることで、「私もちゃんと大切にされているんだな」と実感できるのです。

私たちは、大切な別れの時、
形に残るものを贈る一方で、
花束の一瞬の美しさを贈りたいと思うことがあります。
それは、
たとえ輝かしい一瞬が終わっても、
記憶の中に残り、
思い出しさえすると、実感が込み上げることを、
どこかで知っているのかもしれません。
だからこそ、3月の街には、たくさんの花束が行き交うのでしょう。

もし、
この春、
誰かに花を贈りたくなったら、
それはきっと、

「あなたがいてくれてよかった」という
素直な気持ちが芽生えた証です。

そして、
もし花束を受け取ったなら、
その気持ちを遠慮せずに味わうことにいたしましょう。
花の温かさは、心の奥にずっと残るものになるのだからね。
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