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人の力が開花すること(院長)
- 院長ブログ
日本の各地で、桜の開花が進んでいます。
今回は、『人の力の開花』について、考えてみました。
僕は、音楽がとても好きです。
実際にバンドを組み、演奏もしてきました。
もしも生まれ変わったら、本気でプロを目指してみたいかもしれないと、
そう思うほどです。
僕は、音楽を大好きだけど、その道には進まなかった。
自分の力が、音楽の世界で開花することはないと、どこかでわかっていたからでしょう。
情熱があることと、その力が開くことは、残念だけど、繋がっているとは限りません。
また、才能があっても、その力が開花するとは、限らない。
精神科医として、多くの人と向き合う中で、
「もっと違う人生が良かった」「しくじった」
「自分はこんなもんじゃないんだ」と語る方にも出会います。
『自分の力が開花しなかった』かのように、悲しそうに悔しそうにお話しされます。
けれど、それは、本当にそうだったのでしょうか。
花が咲くには、光と水と時間が必要です。
開花は、種そのものの性質も問われますが、
努力や才能だけでは説明できない、複雑で繊細な現象です。
「僕の力は、咲かなかった」と感じているその方にも、
すでに別の形で咲いた花があるのではないかと思うことがあります。
(僕みたいに)思うようにいかなかった夢、届かなかった目標。それでも、
友達や家族、他の誰かを大事に思い、踏ん張りながら過ごした日々があって、
その中で、確かに開花したものが、あったのではないでしょうか。
その花が少し控えめに咲いていたために、自分では見えなかっただけかもしれません。
・・・(自分で)認められなかったのかもしれません。
「こうでなければ価値がない」という条件をやめて、
自分が思い描いた形とは違う開花に気づき、それを喜べること。
その方がずっと素晴らしいじゃないかと、僕は自分にも時々言葉をかけるようにしています。
僕自身、音楽は趣味のままで終わりましたが、
仲間と音を重ねるのは、僕の力の開花であり、何にも代え難いものでした。
そのことを、忘れずにいたいと思います。