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音楽と3月
- 院長ブログ
3月は卒業や旅立ちの季節。
ふとしたきっかけで、過去の出来事と向き合い、
新たな一歩を踏み出すこともあります。
先日、あるテレビ番組を見ていて、そんな瞬間に立ち会った気がしました。
昨年、サンフレッチェ広島の青山敏弘選手が現役を引退しましたが、
その彼が作陽高校時代に経験した苦い記憶について語っていました。
高校3年の全国大会決勝、彼のチームは勝利を目前にしながら、
誤審によって涙を呑むことになりました。
長い時間が経っても、その悔しさは心に残り続けたそうです。
しかし、先日、当時のチームメンバーが集まり、
もう一度試合をする機会が設けられました。
その試合を終えた後、青山選手は「今日が本当の引退だと思う」と語り、
かつての未完の物語に一つの区切りをつけることができたのです。
この話を聞いて、思い出した音楽がありました。
ビートルズの楽曲の「イエスタディ」です。
正確にはビートルズの楽曲ですが、
レノンとポール・マッカートニーがともに作り上げたあの曲は、
「昨日」との対話のような歌詞が印象的です。
Yesterday, all my troubles seemed so far away…
(昨日は、すべての悩みが遠くにあるように思えた)というフレーズは、
過去の思い出や後悔に向き合う時の感情そのものを表しているように感じます。
どんなに時が経っても、心の中に残り続けるものがあり、
それがふとしたきっかけで浮かび上がることがある
・・・でも、青山選手のように、ある瞬間に区切りをつけることで、
ようやく昨日から今日へ、そして未来へと気持ちが向かうのかもしれません。
人生には、納得できないまま終わってしまう出来事が少なからずあります。
失恋、不合格、転勤、やり残した挑戦――自分ではどうにもできずに、
気持ちの整理がつかないまま時が過ぎてしまうことがある。
でも、それは必ずしも「消えない傷」になるわけではなく、
ある時ふとしたきっかけで整理がつき、
前に進める瞬間がやってくるのかもしれません。
「イエスタディ」が語るように、
昨日を振り返ることで見えてくるものもある。
そして3月は、そんな思い出と区切りをつけられ、
新しい季節へと歩み出すタイミングなのかもしれません。