Blog
ブログ
午年と馬
- 院長ブログ
——ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』と、一年の終わりに——
2025年に放送されたドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』は、
妻夫木聡さんを主演に、黒木瞳さん、小泉孝太郎さんらが出演し、
競馬の世界を舞台に描かれた作品でした。
北海道・日高の牧場から始まる、
人と馬の関わりの積み重ねが丁寧に描かれていたことが印象に残ります。
このドラマの物語は、最初から有利な条件のもとで始まるわけではありません。
資本、血統、環境——競馬の世界では不利とされがちな条件を抱えたまま、
それでも馬を命として扱い、
日々の世話を続けていく人たちの姿が描かれていきます。
作品が静かに伝えてくるのは、不利な条件なら、その条件を抱えたまま、
どうやって勝利への可能性を見出していくかという姿勢でした。
これは、自分自身の開院までの歩みとも重なります。
一般的に見れば、僕は、開業の年齢が遅い部類に入ります。
あと10年早かったらな、こんなこともあんなこともできたのかもな、と思いますしね。
けれどそれは、不利な条件というだけでなく、そうなるまでに積み重ねてきた経験や迷い、
臨床の時間を、そのまま持ってこられた結果でもありました。
診察では、患者さんから「私は、何をするにも、もう遅いですよね」と
語られることがあります。
年齢のこと、これまでの経過、うまくいかなかった経験。
そう感じてしまう背景には、それだけ長い時間、耐えながら生きてこられた歴史があります。
人と馬、ドラマと現実を混同はしませんが、
ドラマの、物語の終盤で描かれる結果は、「不利だったことを帳消しにするため」ではなく、
その条件の中で続けてきたことが、結果として力になり、絆や希望を生み出すものであることを
照らすように描かれます。
心の問題も、人生の歩みも、同じようなところがあって、
遠回りに見える時間や、立ち止まった経験は、その最中はいいように思えないけれど、
後から振り返ると「その時間があったからこそ身についた感覚や考え方」が必ずあります。
それは、「今ここ、これからの難題」を解く知恵にもなります。
そして、今日は12月30日です。
あなたが、一年の終わりに
「できたこと」よりも「できなかったこと」に目が向きやすくなっていたとしても、
ここまで続いてきた時間そのものが、すでに一つの歩みでもあるのですよね。
今日があるのは、そうやって、不利な条件を抱えたままでも、こつこつと歩んでいたから。
ですよね。
偉いよ自分。
ドラマは、「不利に思える条件を抱えたままでも、前に進む方法はあるよ」と教えてくれて、
ラストには、不利な条件を忘れさせてくれるぐらいでした。
この一年を静かに振り返りながら、
来る年が、不利に思える条件を抱えたままでも、
自分らしく、前に進める一年となりますように。
その先に、思いがけない喜びや、患者さまの幸せが広がっていることを願いながら、
年の締めくくりとしたいと思います。