秋冬の味覚 かぼちゃ

  • 院長ブログ

僕は、かぼちゃを積極的には食べませんでした。
お弁当に入っていれば端に寄せて誰かにあげる。
そんな距離感の食材でした。けれど最近は、あれば食べるようになりました。
「健康のために」と言えばそれまでですが、
僕もかぼちゃの栄養価や健康効果を“知って”はいたのです。
それでも食べなかったのに‥です。

この小さな変化から、
「必要ないと思っていたものを受け入れるとはどういうことか」を考えました。
一つには、「知っている」から「わかる」に変わったということかと思います。
正しい知識を伝えることと、実際に行動につながることは別問題です。
タイミングや心の状態が合わなければ、相手はそれを受け取れません。
僕自身、ようやく今になってその意味を“わかる”ようになったのでしょう。

もう一つは、「嫌い」が「まあいいか」にほどけたことかなと思います。
人が変わるきっかけは、この“まあいいか”の中にあります。
臨床でも、
患者さんが「嫌だ」「怖い」と感じることを無理強いすることはできません。
けれど、
「少しやってみてもいいかも」と思える余地が生まれるとき、変化が始まります。
そして、「やらされる」から「やってみよう」へということかなと思います。
外からの指示でなく、内側から自然に湧いてくる「納得」という
“内発的な動き”を支えることも、医療の本質の一つだと思います。

かぼちゃひとつ食べるようになっただけの話ですが、その裏には、
「知っている」が「わかる」に変わる瞬間、
「嫌い」が「まあいいか」にほどけていく瞬間、
「やらされる」が「やってみよう」に変わる瞬間が確かにありました。
日々の診療のなかで、患者さんのこうした小さな変化を見逃さないようにしたいものです。
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