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胡蝶蘭を咲かせられました
- 院長ブログ
サボテンを枯らした人が胡蝶蘭を咲かせたわけ
「私、サボテンすら枯らすんです。だから胡蝶蘭なんて絶対無理です」と言っていたスタッフ(副院長)が、小さな胡蝶蘭の花を咲かせました。
胡蝶蘭は確かに気難しい植物のひとつです。見た目の優雅さに反して、世話にはコツがいります。だからその言葉には、自分には向いていない、きっとまた失敗するというあきらめが込められていたように思います。
なぜ咲かせられたのか?そこにはいくつかの要因があると考えています。
まずひとつは、「期待されすぎなかったこと」。
本人も、周囲も、「咲かないだろう」と思っていたことが、逆にプレッシャーを下げ、自然体で関われる余地を生んだのかもしれません。臨床でも、過度な期待や成功のプレッシャーが心を萎縮させる場面はよくあります。むしろ「気が向いたときに水をあげる」くらいのゆるさが、継続を可能にしたのでしょう。
ふたつめに、「自分のペースで関われたこと」。
誰かに管理されず、自分のリズムで世話を続けたことが、結果的に植物に合った接し方になっていたのだと思います。これは人との関係にも似ています。相手に合わせすぎず、かといって放置もしない――ちょうどいい距離感のなかで、相手の変化が起こることがあるのです。
そして何より、「変わることがある」という予想外の成功体験そのものが、非常に意味のある出来事です。失敗体験に縛られていた人が、自分の中にも「育てる力」があったと知る。その実感が、他の場面でも自信や柔軟性に繋がっていくことがあります。
「胡蝶蘭を咲かせた今」がある。人の変化や回復も、きっとこうした“小さなうまくいく”から始まるのだと、私はこのエピソードから改めて感じています。