開院1周年に寄せて

  • 副院長ブログ
1年前、
私にとって、街のクリニックで働くことは、
「なりたい心理師になる」挑戦でした。

私がなりたい心理師。
そのひとつは、「相手と対話ができる心理師」です。

たとえば、
"そうそう、それが言いたかったんだ"
"そう、それがしんどかった"
"なるほど、それなら腑に落ちた"

話をして、相手から、そういった言葉が自然に出る瞬間へと繋いでいきたい。
ところが、
実際にクリニックに来てくれるちびっ子の患者さんたちは、
話をしてはくれませんでした。

「困ったことはありません」
「毎日楽しいです」
「変わったことはありません」

そんな風に言葉少なで、私は戸惑いました。
全く気持ちに寄り添えていないどころか、
心に近づかれるのを拒まれているようでした。

−−話が通じねぇ−−。
どうすれば、対話ができるのだろう。私は戸惑いました。

共に居ることはできる。
昔々に、臨床で教わったことでした。
それで、
一つの机と道具をシェアして、絵を描き合いながら(相互のsquiggle)、
静かに待ちました。時には数ヶ月。

待つというのは、大変難しく、ある意味では耐えるような時間でもあります。
けれど、ある時にふと、
互いの琴線に触れるような短い言葉が交わされる瞬間があり、
そこから、少しずつ治療が動き始めていきました。

焦らない。ただそっとそばに居る。
それもまた、“対話”の形であると学びました。

このクリニックで、
治療に向き合い、時に泣きながらもがんばっておられる患者さまやご家族の姿から、
私自身、たくさんの力をいただき、推進力となっています。

そして、患者さま同士が記し合っているクレールメモや、
作品、ブログの記事、情報発信は、
当院に立ち寄る多くの人の心同士をあたたかくしてくれています。

この場を借りて、皆さまに心からの敬意と感謝をお伝えします。

2年目もまた、ここで出会う方々と、対話を重ねていけたらと思っています。
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