開院1周年を迎えて

  • 院長ブログ

5月7日、クレール心療クリニックは開院から1年を迎えました。
振り返れば、人生で最も忙しく、学びの機会に満ちた1年だったと感じています。

特にハッとさせられたのは、まだ幼い小学生たちのメンタルヘルスのリスクの高さです。
「学校に行きたくない」「行けない」という言葉の背景に、
見過ごされがちな小児うつが潜んでいるケースは少なくありませんでした。
そして、それを支える親御さんたちもまた、不安や葛藤の中で静かに疲弊している・・
その現実と向き合う日々でもあり、
子どもにも大人にも、「心の赤信号だよ」と説明し、休息の取り方を話し合いました。

一方で、親元を離れ、
一人暮らしを始めた若者たちの戸惑いや孤独にも数多く出会いました。
進学や就職という新たな環境で直面する"生きづらさ"の背景には、
しばしば発達特性が関わっており、
「適応の仕方」のアドバイスや「合理的な配慮」の依頼だけでは終わってしまえない
医療のの必要性を痛感しています。

そして、様々な世代の方々と関わり、
ひとつの共通したテーマにも気づかされました。
それは、「喪失から獲得までのトンネル」です。

私達は、人生の中で何かを失う経験を必ずします。
学校、友人、自信、居場所――
そのいずれもが、時に深い痛みを伴いながら、なくなってしまう出来事に遭遇します。
進級・進学・就職とともに、変化を強いられることも喪失です。
それでも、その慣れ親しみ、拠り所の喪失をきっかけとして、
新たな価値を獲得していけるのも、事実です。
この、「失う体験はやがて活きる」と気づけるまで支える営みは、
医師として決して容易なものではありませんでした。

また、予想外に、受験生たちを、非常に多くサポートしました。
「先生、春から行ってくるね」
「一人暮らしのアパートを契約したよ」と教えてくれる子たちに、
「何かあったときは、またおいで。元気でね。」と送りだしました。
ひとまず、医療の"卒業"であり、嬉しく思います。
だからこそ、必要なとき、いつでも、自然と戻ってこられる場所であり続けること・・
それが当院の大切な役割のひとつだと考えています。

まだまだやりたいことは尽きません。
これからも悩み、汗しながら、
クレール心療クリニックが街の診療所として、皆様に受け入れていただけるよう、
着実に歩みを進めてまいります。
最後になりますが、
施設見学や当院からの入院を快く受け入れてくださった多くの関係機関の皆さま、
そして日々支えてくださる皆さまに、心より感謝申し上げます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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