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「自分らしい幸せ」ということ
- 院長ブログ
この間、副院長と、
人としての幸せと自分らしい幸せ ということについて
意見を交換し、ブログの記事にしました。
その後半の、「自分らしい幸せ」ということについてです。
僕は医師だから、自分らしい幸せとは、
「健康で、安定すること」だと思います。
クリニックの待合室で、順番を待っている人の顔を見ていると、
「早く楽になりたい」と思っているのが伝わってくることがあります。
つらいときは、一日がものすごく長く感じるものです。
朝が来るのが怖いし、夜になっても眠れない。
とにかく、このしんどさから抜け出したい。
そんなふうに思って、ここに来てくれているのだろうと思います。
でも、精神科の診察室でできることは、
「魔法のように苦しみを消すこと」ではなく・・・。
そんな力があればいいのに、と何度思ったことか。
けれど、医師としてできるのは、
「その人が健康になれるように、一緒に考えること」だと思っています。
「健康になる」って、決して「病気がゼロになる」ことじゃありません。
たとえば、うつ病の人なら、
「もう大丈夫、何でもできる」というよりも、
「まだちょっとしんどいけど、昨日よりはマシかもしれない」
くらいのほうが、長続きする健康だったりします。
不安を抱えやすい人なら、「もう不安にならない」よりも、
「不安になっても、まあなんとかなるか」と思えるほうが、
よっぽど心は軽くなるとか・・・。
そういう、「自分にとって無理のない健康」を一緒に探すのが、
精神科医の役目なんじゃないかと思います。
薬を使ったほうがいいときもあるし、
生活のリズムを整えることが大事なときもあります。
「もっと頑張れ」と言わないことが、その人にとって一番の治療になることもある。
診察室で交わす言葉は、どれも小さなことかもしれません。
でも、その小さな積み重ねが、
やがて「なんとか生きていける」という安心感につながるのだと信じたい!
健康って、まっすぐな道をまっすぐ歩くことじゃないんですよね。
ときどき立ち止まったり、ゆっくり歩いたり、
ちょっと道をそれたりしながら、
「これくらいなら、無理せず歩けるかな」と
思える道を見つけることかなと思うんですよね。
その道の先に、「自分らしく生きられる日常」があったら、
それでひとまずは、いいのではないでしょうか。
焦らなくていい。
昨日より、ほんの少しだけでも楽になっていたら、
それは「あなたらしい健康」を取り戻している証拠だとおもいましょう。
たとえ今日はしんどくても、また少しずつ取り戻せばいいし、
そうやって、ゆっくりと、自分のペースで進んでいけたら、
自分らしい幸せに向かって進めているのではないかなと思います。
僕らと共にね。